早速バイトに行ってきた。~その3~


慣れないバイト、最初は物珍しくて人間観察などを楽しんでいた。

しかし、時間が経つにつれ足腰が重くなってくる。

ずっと立ちっぱなしの立ち仕事だ。パートのように事務方ではなく、どちらかというと肉体労働。

普段、何時間も立っていることがないので体が驚いている。

しかも単調な動き。

時計を見るとバイト時間の半分も終わっていない。

休憩もなく、ノンストップでのバイトとなる。

そうしていると、ラインをかえて次のラインの弁当に移るよう仕切りおばちゃんから言われる。

今度は、野沢菜ときゅうりの漬物だ。どっちかが2gでどっちかが3gだったか。

また、量が違うのか・・

しかも野沢菜はくっついていて、細かくするのに手間取る。

きゅうりは2、3切れくだいだろうか。

大きなものだと2切れ、小さなものだと3切れが指定されたグラムに見合う重さだ。

緊張が走る。

早速ラインが動き出す。

左手で野沢菜を少しつまみ、くっついて大量に取れたのをいそいでほぐす。

右手ではキュウリを2個つまむも、小さいのでもう一個小さめを探す。

そうすると、あっという間に目の前の弁当は過ぎていく。

あわわ、、

いそいで次の弁当、次の弁当。

全然気持ちが休まらない。

3個入れたキュウリが大きかったりすると、2個に減らす。

そうしていると、今度は野沢菜のだまがなかなかほぐれない。

変な汗がでる。

後方のラインから

「キューリ、さんこいれて!」

と片言で聞こえる。

今度は彫の深い、若い異国の女性に注意される。

「は、はい!」

数は3個なのか。グラムを意識しすぎた。

上から出される指示と現場の声が若干違うのは、年をとっている私にはなんとなく理解できた。

年の功だ。

きっと、若い頃の私だったら混乱していただろう。

職場とは、そういうものだ。

妙に納得する。

それにしても、慣れない。

私の周りは、なんだか焦った空気で満たされる。

仕切りおばちゃんが、それに気づいたのか分からないが、

「ちょっと、あっちのラインに行って。」

と声がかかる。

そしてもとのラインに向かって、

「そこの、しいたけの人!横空けたって!」

(しいたけの人って・・・)

同期は私と同じラインにうつされたが、私のみ前のラインに戻される。

使えないレッテルを張られた気分だ。

実際動けていない。

しいたけ担当の人は、同期からおじさんに変わっていた。

周りを見ると、場所替えされている人が多い事に驚く。

段取りが悪いように見えるのだが、適材適所と言うことか。

結局、私はまたぜんまい担当となった。

ソーセージや鮭など、1個づつ入れるものならば楽でいいのに。

そう思って見ていると、大概はその担当は若い男性だった。

学生アルバイトだろうか。

なるほどな。

手先の器用なベテラン女性はむずかしい場所へまわされるらしい。

それこそグラムを量ってから、弁当に盛り付けるというものだ。

私がグラムを量っていたら、まったく追い付かないだろう。

微妙な気持ちにはなったが、元の場所に戻ってなんとなくホッとする。

そして目くるめく、ぜんまい盛り付けが始まった。

ひたすらぜんまい、でんぶ、ぜんまい、でんぶ。

延々と単調な作業。

自分が機械になってしまったのではないかという錯覚にさえ陥る。

今は何時だろう。あと何時間働くのだろうと時計を探すべく目線を上げると。

天井が動いている。

何故!?

煙のようなものが天井に流れているように見える。

違う。

そうではない。

目が、弁当のラインに慣れてしまって、天井まで動いているように見えたのだ。

重症だ。

いくら目をこらしても、やはり天井は動いていた。

~その3~に続く。

にほんブログ村 にほんブログ村へ