複雑な機械の掃除。奥の方の汚れが取れない。
「掃除終わるで~。」
と声が聞こえるが、
「スミマセン、ここの汚れがとれなくて・・」
と声をかけてきた女性に言うと
「ちょっと!○○さん!ちゃんと最後まで面倒見たらな~ほったらかしとったらアカンで~。」
「アハハハハ・・」(周りの人が笑う)
別のことをしていた、年配の女性が戻ってきて一緒に掃除をしてくれた。
申し訳なかった。
派遣の面倒手当、つけてあげてください。
そうしたら、きっとおしゃべり2人組は率先して私の世話をしてくれるだろう。
そんなことを思いながら、今回のバイトは終わった。
なんだかグッタリして、もとの事務所に戻ろうとする。
しかし、その前に履いていた靴を洗わないといけない。
グルグルと工場内を回って最初に説明を受けたが、方向音痴の私は靴洗い場がどこなのか分からない。
部屋を出てきたものの、一体ここはどこなんだ!?
たまたま、別会社の派遣の男の子も同じ時間に終わってバッタリ出くわした。
そして私がキョロキョロしているのを見て、
「こっちですよね?」
と靴洗い場を教えてくれた。
ありがとう青年よ、助かったー。
大学生だろうか?にっこり笑いかけてくれ、場所を教えてくれた。仕事の疲れが吹き飛ぶようだった。
それからも迷子にならないように、青年のあとについて行った。
事務所まで連れて行ってもらおう。
靴を洗い、靴脱ぎ場で靴を脱いだ。
ふいに青年はどこにいるのだろうと顔を上げると。

青年が酷く穴の開いた靴下を履いていて、驚いた。
同時に、なんとも微笑ましい、と思うのは自分の息子と被るからだろうか。
うちの長男は、よく穴の空いた靴下を履いている。私が気づいて捨てよ、と言うまで履き続ける。
青年の場合は親指だけでなく、かかとまでも穴が空いていた。
そして、事務所へ連れて行ってもらい名簿にチェックを入れる。
ちょうど私の欄の上に、名前があった青年。
偶然にも長男と同じ名前だった。
そこで、また勝手に親近感を覚える。
長男も大きくなったら、こんなになるのだろうか。
そして、おばさんが工場で迷っていたら、優しく声をかけることは出来るだろうか。
なんだか、バイトの疲れがこの青年によってだいぶ救われた気がした。
しかし、お金を稼ぐということは楽ではない。
そして人間関係。
どこの職場に行っても、そのしがらみは付きまとう。
いい人ばかりの職場なんてそうそうない。
だから自分を鍛えて、修行だと思って自分を磨く。
まわりから何を言われようとも、跳ね返す強いメンタルを目指す。
何を言われたって気にしない。
そう思って家に帰って夫に話すと、何回もその2人組の事を言うものだから夫が言った。
「気にしてんやん、自分。」
・・そりゃ、人間ですから。
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